退職手続き

 

会社を辞める、と言うのは大変なことなのかどうか、あまり考えずに黙々と手続きを進めた。

ここには自分の場合のことと、知ってると得なことをまとめる。

 

(1)辞表

ある日、上司の机の上に辞表をサラリと置いて会社を出て行きたい、なんてのはテレビドラマの見過ぎ。

だけど会社を辞めるというのは、サラリーマンにとって唯一の人事権の行使だ。

行使することに対する誘惑は、誰でも感じたことがあるのではないか。

その誘惑で行使するのではなく、自分なりに熟慮した行使するタイミング、というのに悩む。

仕事の仲間への迷惑、新しい仕事が始まるタイミング、賞与の時期、退職金や年金への影響、次の訓練校の準備。

いろいろな状況から、2002年1月から3月と決めた。

それを決めると、2〜3カ月前に上司に意向を伝えることになる。

11月半ばに担当役員のアポをいただく。当日は、急に役員の都合が悪くなり、再調整。

1週間後の朝、これからは樹木医を目標に勉強をするので、会社を辞めたいことを伝える。

「樹木医か、いいなア」などと和やかな会話で終わる。

僕も、これまでの緊張が抜けていく。

形式的な辞表はさらに退職1カ月前に書く。これで後に戻ることはできなくなる。

 

(2)退職金

退職金というのは、ある部分、会社ごとの決まりの上で運営されているらしいので、

僕の場合を書いても役に立たないかもしれない。

僕の場合は、早期退職優遇制度というものを利用した。それには退職理由などに一定の条件がある。

生まれて始めて手にする、まとまったお金である。

税金は源泉徴収されるので、とりあえず、いくら「ピンはね」されるのか計算してみた。

退職金の所得税は優遇されていると言うが、それは普通に30年以上勤めて、受け取る金額の場合だ。

早期〜制度は、所得税上は全然優遇ではない。地方税含めてすごい税金額になったので驚いた。

退職金の一部を、将来の年金に加算する制度があると言う。会社の担当者に質問すると

確かに退職金の所得税は安くなるが、将来の年金にも税金はかかるし、年金の支給額は保証されていない、と仰る。

しかし、所得税の減り方が大きいし、税金に持って行かれる位なら・・と、年金加算を選んだ。

さらに、その後の話として、翌年は年末調整が無いので、確定(還付)申告をした。

すると、この時に源泉徴収された所得税の半分が戻ってきた。どういう訳か地方税は戻らなかった。

結果として初めに計算した所得税の1/4程度になった。よかった。

 

(3)年金

退職すると厚生年金が国民年金になる。

退職証明書を持って区役所に行き、国民年金への変更手続きをした。

保険料は、全国民共通の13300円をかみさんのと二人分、払うことになる。

会社を辞める前に、厚生年金基金事務局に年金額の試算を依頼した。

60歳まで勤めた場合と50歳で退職した場合の両方を。

それによると受け取る月額が、60歳で6万弱、65歳で7万ほど違いがあることが分かる。

しかし、それで生活できなくなると言う問題ではないし、そもそも10年後の生活基盤を何に求めるかである。

その他、財形年金というのがある。

これはあくまでも会社が窓口となっている貯蓄のため、退職時は無条件で解約になる。

他の個人年金類への切り換えなど一切できないそうである。

 

(4)健康保険

退職すると組合健康保険から国民健康保険になる。

ただし、任意継続という選択肢があり、2年間は組合健康保険に継続加入できる。

しかし、保険料は全額本人負担で、2年間の途中で再就職以外の理由では勝手に脱退できない。

まず全額本人負担ということは、保険料が2倍以上になるということだ。それが2年間。

健康保険の保険料は、退職時の給与を元にした額か、一般被保険者の平均額かの低い方を元にする。

だから、ほとんど平均額(の2倍以上)を退職後2年間払うことになる。結構な金額である。

国民健康保険なら、前年の収入を元に毎年更新する。

素直に言えば、1年目は任意継続を、2年目は国民健康保険を選びたい、が任意継続は2年を義務付けている。

区役所で相談をした。こたえは「2年目は払わなければいいんですよ」だった。しばし絶句。

確かに任意継続は、保険料の払い込みが停滞すると直ちに脱退させられる、とある。

どのような理由でこの制度があるのか未だに分からない。

その後に分かった事は、健康保険の年間の利用実績から見れば、保険料は倍以上払い込んでいた。

これだけ払ったら医者にかかった方が得、と思わせる制度である。

健康保険は任意保険にすべきだと思う。

 

(5)雇用保険

今回、とてもお世話になった保険だ。

退職時に会社で行なう手続きはほとんど無い。

退職に伴い被保険者証を支給される。小さい紙切れだがとても大切である。

これについては別の機会で紹介する。

 

(6)その他

会社の住宅ローンを借りており、まだ残額があった。当然これは退職金で支払うこととなる。

持株会に入り、毎月定期定額的に自社株を購入していた。

退職に伴い退会となるが、単位株数以下の端数は時価で現金化されてしまう。

端数が何と990株あった。最後の1カ月分の支払いが退会に間に合わなかった。

当時の株価は底を見た後、じわじわ上がっているように見えていた。

端数の現金を支払うから株券で支給して欲しい、と相談したがだめだった。

結果はそれで良かった。株価は当時が小ピークで、今は1/3の価格になってしまった。

その点では運が良かったのだろう。

 

 

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