イヌブナ 学名 Fagus japonica
別名 クロブナ
犬ブナ(ブナは木ヘンに無) 分類 ブナ科ブナ属 (落葉高木)
ブナより劣るため、イヌが付いた。木で無いブナより劣る、と言うのも可哀相な名前だ。葉の裏面に毛があるのでイヌがつく、という説も。 原産・分布 本州(岩手県以南の主として太平洋側)、四国、九州
神奈川県 丹沢、箱根(北西部)、小仏山地の400m以上に見ることができる。
用途 建築・土木・器具・船舶材、マッチの軸木
ブナより少し低いところから自生し、ブナと混生する。日本海側には分布しない。
ブナのような大きな群落にならない。雪の多い地域では、尾根筋や平坦なところには少なく、急な斜面や崖っぷちに多いようだ。雪が苦手なのだろう。
大木になる割りには、株立ちが多い。直径が40cmくらいの幹4本が1株、なんて樹も多い。写真の樹も樹高25mくらい。
樹(新緑)

丹沢
中川東沢
090503
イヌブナ樹
樹皮は暗灰褐色で、ブナより黒く、イボ状の皮目が多い。ザラついた印象の樹皮。

丹沢
仏果山
050417
イヌブナ幹
葉は互生し、卵状楕円形あるいは長楕円形で、質はやや薄い。裏面には白くて長い絹毛がある。縁には波状鋸歯があり、ブナと同様に、側脈が鋸歯の凹部に至る。側脈は10〜14対でブナ(7〜11対)より多い。

丹沢
塩水川
040924
イヌブナ葉
雌雄同株。雌雄異花
4〜5月に花を付ける。雄花は、新枝の下部に頭状花序を付け、垂れ下がる。雌花は新枝の上部に付く。
雌花(右)
雄花(下)

丹沢
仏果山
050417
イヌブナ花
堅果は3陵ある円錐形で、1つの実に2個づつ付く。小さめの殻斗が、基部に付く。殻斗は4裂する。 若い実

群馬県
みなかみ町赤谷
110703
ブナの実と比べると、柄が長く、殻斗が小さい。実もすこし小ぶり。柄が長いので、ブローチのような、飾りができる。 果実・種子

群馬県
みなかみ町赤谷
051112
イヌブナ実
冬芽は褐色、狭長楕円形で先端は尖る。芽鱗は4列に並び断面は丸い。短い柄がある。
写真のように、冬の間、葉が落ちないものがある。
冬芽

丹沢
水の木
040320
イヌブナ冬芽
通常はあまり綺麗に紅葉しない。気象条件により黄色〜赤に紅葉する。近寄ると黄色い葉と茶色くなった葉が光の加減で赤〜錆色に見えるようだ。 紅葉

上野原市秋山
151105
前年に豊作だったのか、山道にイヌブナの実生が沢山あった。子葉(双葉)はブナのそれによく似る。無造作に畳まれた不定形な葉が開きはじめたところ。 発芽

上野原市秋山
棚の入山
190416
ブナと同様に、イヌブナにも虫こぶが多い。同じ形成主によるものが多い。
写真は、ブナハベリタマフシ(ブナ葉縁玉フシ)。タマバエの1種による。9月頃、落葉に先立ち、虫こぶの一部が、中の幼虫とともに落下する。幼虫は蛹化して越冬し、早春に羽化する。
虫こぶ

丹沢
堂平
040802
イヌブナ虫こぶ

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