ヤマハギ

学名 Lespedeza bicolor
別名 ハギ、ハツ
山萩 分類 マメ科ハギ属 (落葉低木)
山に普通に咲くハギ。ハギは、「生え芽(き)」からが一般的。古い株から芽を出す意。 原産・分布 北海道、本州、四国、九州。朝鮮半島、中国。
神奈川県 全域に分布するが数は少ない。多摩丘陵に多い。
用途 庭木、公園樹
仲間のヤマハギ亜属に野生のハギがいくつかあるが、「萩」はその総称とされる。
林縁や草地に生え、高さ1〜2mに株立ちして葉を茂らせ藪状になる。秋に花をつけるが、小さいのでそれほど目立たない。
秋の七草でもあり、昔から日本人に愛された花の一つ。


上野原市
秋山
170918
ヤマザクラ樹
株立ち状の幹。1年目は緑色、秋には淡褐色になる。枝分かれして先へ伸びるが、葉を茂らせると重みで枝垂れる。
冬には幹の上部はほとんど枯れてしまい、翌春基部からたくさんの新しい茎を出す。茎の多くを1年で使い捨てにするので木本と言えるのか疑問。


上野原市
秋山
170918
ヤマザクラ幹
葉は互生し3出複葉になる。
小葉は広楕円形で先は円形、わずかに凹む。裏面には細毛が生える。


上野原市
秋山
170918
ヤマザクラ若葉
花は8〜9月に葉腋から、葉より長い総状花序を出し、マメ科独特の蝶形で紫色の両性花を対にしてつける。
花言葉「思案、想い、内気、柔軟な精神」


上野原市
秋山
170918
ヤマザクラ花
遅くまで枝に残った豆果。鞘は裂けずに落ちる。
★食★オオマシコ、アオジ、ミヤマホオジロ、カシラダカ


上野原市
秋山
171205
ヤマザクラ花
冬芽は樹皮と同じ淡褐色。芽鱗は多数で螺旋状に並ぶ。副芽を持つことが多い。
茎の上部には冬芽は形成されず、冬には枯れてしまう。
冬芽

上野原市
秋山
171205
ヤマザクラ花
こぼれ話 「万葉集」
奈良時代に編纂された万葉集には、当時の人々の自然への想い、暮らし方、恋愛などの心の様が素直にありのままに表現されている。後の世の歌集になると、歌の技巧に凝るようにもなるが、万葉集では読み人の心がおおらかに歌われていることが多い。(写真は万葉集第9巻の写本)
中でも自然物・植物が詠みこまれた歌は多く、草花がについては全体で4500首余りの内1500首以上ある。よく万葉集に登場する草花のランキングが紹介されることがある。「桜」「紅葉」のように総称や、名無しの花などもあるのでカウントの方法でランキングは多少変化する。が、多くの場合「ハギ」は万葉歌への登場第1位になる。
1位「ハギ」、2位「ウメ」、3位「マツ」、4位「モ(藻)」、5位「タチバナ」、6位「スゲ」、7位「ススキ」、8位「サクラ」、9位「ヤナギ」、10位「アズサ」
(「花と木の文化史」中尾佐助より)
これは奈良時代の人々の草花人気投票の結果と見ることもできる。
萩の歌で最も有名なものが、秋の七草を詠んだ次の歌。
「秋の野に咲きたる花を指(および)折り、かき数ふれば七種(ななくさ)の花」
「萩の花、尾花、葛花(くずはな)、なでしこの花、をみなへし、また藤袴(ふぢはかま)、朝顔の花」山上憶良
特に2番目の歌は七草の名を列挙しただけの歌で、万葉集のおおらかさが分かる。
万葉集の時代はまだ仮名文字が発明されておらず、上の写真のようにすべて漢字で表記されている。漢字ではあるが、もとの中国での意味とは関係なく、その読みだけを拝借し大和言葉を書き表している。この漢字をそのまま使った日本語表記を「万葉仮名」と呼んでいる。後の平仮名、カタカナへの変化の原型である。
すべて漢字を使った日本語表記は万葉集より50年ほど早くできた「古事記」や「日本書紀」にも見ることができる。

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