マテバシイ

学名 Pasania edulis
別名 (地)サツマジイ、マタジイ、マテ
馬刀葉椎、待椎 分類 ブナ科マテバシイ属 (常緑高木)
長い葉をマテ貝に例えたとする説と、「待てば椎」とする説がある。 APG分類 ブナ科マテバシイ属 (常緑高木)
原産・分布 本州(紀伊半島)、四国、九州、沖縄 (日本特産種)
神奈川県 自生は無い。薪炭用に多く植採され、丘陵地への逸出もある。
用途 庭木、公園・街路樹、建築・器具材、シイタケ榾木、薪炭材
沿海地の林野に生える。横浜では、いたるところの公園に植えられている。古くから食料として集落の近くに植栽されたために、もともとの分布が分からなくなっている。本州南部は植林と言われる。
葉が厚く、防風、防火に使われた。環境に耐え、よく育ち、剪定にも強いので神社の境内、工場の緑化などでも植えられる。
樹(花期)

横浜市
港北区
070604
幹は、しばしば株本から数本の幹立ちになる。樹皮は灰黒色、縦に細かい白い筋がある。

横浜市
岸根公園 (植栽)
030126
春の終わりに一斉に新しい芽を伸ばす。展葉と同時に、新葉の葉腋に花序をつける。
全ての頂芽から新しい枝葉を伸ばして花を咲かせるので、樹冠が一瞬で膨張したように見える。
展葉

横浜市
港北区
070531
葉は互生、葉身は倒披針状長楕円形で大きい。縁は全縁、質は革質、表面は光沢がある。


立川市
昭和公園
050306
雌雄同株、雌雄異花。
6月に樹全体が黄色くなるように花をつける。雌雄ともに花被片は非常に小さく目立たない。雄花の多数の雄しべで全体が黄色く見える。一見、風媒花に見えるが、強い独特の臭気により虫を呼ぶ。

写真上。雄花序は穂状花序で、新枝の葉腋から上向きにつく。雌花序は雄花序より上部の葉腋につくか、ときに上部の雄花序の基部に、雌花がつくこともある。
新枝が伸びる基部に昨年の雌花序が見える。小さなドングリの卵がついている。

写真下。手前で開花していない花序は、基部に雌花をつけている。雌花は1〜3つの花が固まっていて、花柱が1〜3個尖って見える。この花序も上部は雄花。雄花序も1〜3つの雄花の固まり。


横浜市
港北区
060519


横浜市
港北区
050611
花拡大

横浜市
港北区
050611
実はいわゆるドングリ(堅果)で、長さが2〜3cmになる。殻斗(帽子)は総苞片が瓦状(ツブツブ状)に並ぶ。一つの花軸に多くの雌花をつけるので、ドングリも穂状に結果する。また成熟には1年半かかり、開花の翌年の秋に熟す。タンニンなどの有毒成分が少なく、加熱すればそのまま食用になる。

写真上。開花の翌年の冬、今年の芽吹き前の枝先に、昨年の雌花序の軸が残る。軸につく凸部はドングリの卵。あと3か月もすると、花の写真上のように少し大きくなる。

写真中。大きくはなったが、未だ熟していない。花軸についたドングリの卵が全て大きくなるわけでは無い。未熟のままの卵も残る。

写真下。ほぼ熟したところ。完熟すると殻斗から離れ、ドングリだけが落ちる。この時、枝先には今年のドングリの卵がついている。
若い実

東京都
海の森公園
160227


川崎市
高津区
(植栽)
040820


横浜市
根岸森林公園
040912
ブナ科の常緑樹の冬芽は小さいものが多い。マテバシイも1〜2mmほどで冬を越す。4月に入ると急に膨らむ。写真は少し大きくなっている。
頂生側芽になる場合が多い。全ての頂芽が芽吹くことが多く、結果として春の芽吹きで枝を分ける(上の写真)。
外見が類似するタブノキとは冬芽を見ることで明確に区別できる。
冬芽

東京都
海の森公園
160227

樹木の写真Top