ツユクサ

学名 Commelina communis
別名 ボウシバナ、アオバナ、チグサ、月草(古)
露草 分類 ツユクサ科ツユクサ属 (一年草)
布を染めたとする古名のツキクサ(着草)が変化した。その際、朝咲いた花が午後にはしぼむので露のように儚いという意味が加わったのか。月草は万葉集などでの表記。 APG分類 ツユクサ科ツユクサ属 (一年草)
原産・分布 北海道、本州、四国、九州、沖縄。朝鮮、中国、ウスリー。
神奈川県 全域に分布。道ばた、畑、草地、庭などに生える。
花の時期 6月〜9月


市街地から丘陵地まで、見かけることの多い野草。
茎の下部は地を這い、節から根を出し、分岐して斜めに立ち上がり、葉腋に葉と対生して青色の花をつける。 花は朝に開き、午後にはしぼむ1日花。1日花は夏咲く花に多い。→「花の命は短くて - 夏の花・冬の花

昔は青い花弁で衣を染めたために着き草の名になったとされる。
この花で染めた色は「縹色」「千草色」「露草色」などと呼ばれ親しまれている。
→「植物にゆかりの色
東京都海の森公園 220827


葉は互生し、卵状披針形。単子葉植物なので葉脈は並行脈。
基部は薄い鞘となり、茎を抱く。
東京都海の森公園 220827


花序は、円形の葉を半折りにしたような苞の中に包まれていて、複数個の花が順番に一つづつ苞の外に出て咲く。
花には両性花雄花がある。写真は雄花。下写真が両性花。
雄しべが6個(3個が短く、2個が長く、1個はその中間)だけある。下の写真では長く伸びた雄しべの間に、雌しべが同じ長さで見える。
群馬県みなかみ町赤谷 100905


写真は両性花。
黄色く目立つ3つの雄しべは花粉を出さない囮。
先の灰色の長い2本の雄しべが本物で花粉を出す。
花に向かい花粉をなめようとしたハナアブやハナバチの腹や足に、花粉は付くが食べることはできない。
群馬県みなかみ町赤谷 100905


写真は苞を半分切り取って横から見たところ。
中央の白い楕円状が花後の子房。上に付いた袋状の中に萎んだ花弁が入っている。苞の外に出て咲いた花が、萎むと左側に倒れて苞の中に収まる様子が分かる。この花軸に付く花が2個同時に咲くことは無い。今咲いている花は雄花なので、終われば花柄ごと落ちてしまう。
咲いた花の花被片は、青い花弁が2枚、右雄しべの下に白い花弁が1枚、下と左側に白く目立たない萼が計3枚見える。
東京都海の森公園 220827


時々、2つの花が同時に苞から出て咲いている場合がある。
上の写真の苞の中左端に、先の切れた花柄がある。多くの場合、この茎に直線となる主軸花柄の花は、退化して咲くことは無いが、時として咲くとこの写真のように2個同時開花となる。主軸花(上)は雄花、下は雌花。
東京都海の森公園 220827


この写真も苞を取り去ったところ。
この花序には3つの雌花が咲き、刮ハが膨らんでいた。主軸花も雌花のようだ。今咲いている4つ目の花は雄花。多くの花序は最大4つの花を持つようだ。
東京都海の森公園 220827


この写真も苞の半分を取り去ったところ。
3つの蕾のつく花序で、主軸花は退化している。
蕾では苞の中で下向きになっていて、花後は上に反り返る様子が分かる。雄花か雌花かは咲いてみないと分からない。
東京都海の森公園 220827


花の後。刮ハは苞の中で熟す。
横浜市港北区篠原園地 101124

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