2003年8月の徒然

 

2003年8月1日(金)曇りのち晴れ

造園技能検定、実技試験の日。

6時半に試験会場に着く。道具を運んでいる人、整地をしている人、支給資材を確認している人などいろいろ大勢いる。受験番号が区画に割り振られており、皆準備を開始している。周りを見ると、講習会で見た顔が多い。何となく安堵してしまう。

7時40分から実技試験が始まった。気分の上では落ち着いているつもりだったが、やはり緊張していたのだろうか、初めからミスをしてしまった。建仁寺の親柱の位置が、間柱を立てているときにおかしいことに気づいた。20cm奥から離れるところが16cm位になっている。ピンポールの差し間違いである。つまり長さの測り間違い。何で!どうしよう?悩んでいる時間は無い。立てた親柱を引き抜いて穴の堀り直し。これで気分が焦ってしまった。

次のミスは、延段での水糸張りで、用意した水糸の長さが足りない。自分に怒る。糸巻を出して張り直す。ところが、初めの石を置いてみると糸の巾をはみ出した。もう一度図面を見直すと、45cmの巾を40cmと勘違いしていた。再度糸を張り直す。

3時間の制限に合わせるため、個々の石組の清掃を省略した。ともかく自由課題、植栽、かけいを全て配置した後に延段の整地(清掃、凹凸の調整)含め石の生え際の整地なども行なった。その整地に残り時間20分を使った。余裕は全く無かったが、制限時間で終わらせた。

終了後、審査時間の間、自分の作品を見ると親柱が傾いていることに気がつく。近くでは気づかなかったのが、遠く離れるとよく分かる。ア〜ア。後は神頼み。

解体中に晴れて太陽が出てくる。暑く、汗が滴る。午前中の試験でラッキーだった。

夜、鶴見の同窓生と横浜で飲む。横浜の地下街は、花火の見物帰りのユカタのギャルで混雑していた。

 

2003年8月4日(月)晴れ

関東地方も梅雨が明けたらしい。今日は権太坂小学校である。朝から蒸し暑くなった。

朝からチップソーで草刈りをしていると、急に腹が痛くなり、学校のトイレに駆け込んだ。家でトイレは済んでいるはずなのに。暑さのせいで調子が悪いのか。一緒に刈っていた人が、刈り払いは腰をひねるので腸の活動が活発になるからだよ、と仰る。トイレで気づいたが、上着がすでに汗でグッショリしていた。まだ朝の9時過ぎである。

学校の草刈りをすると、近隣の人は大概喜んでくれる。「やっと今年もきれいになるね」「ごくろうさま」「きれいに刈ってしまってください」。しかし中には、どういう訳かしかめっ面の人がいる。刈った草を車に積むのに、道路を使わせてもらいに挨拶に行くと、ニコリともせずにどうしてそんなことを言いに来るの、と言った顔をされた。

しかし今日は暑かった。今までが涼しかったので余計に暑さを感じる。昼間、水を4リットルくらい飲んだ。夜もアルコール入りの水を2リットルくらい飲む。

 

2003年8月8日(金)曇り

台風10号が四国、紀伊半島を目指して北上している。朝から台風の雲が足早に流れている。

午前中に桜丘高校の仕上げに行く。昨日までに刈り、積み残した草の回収と、若干の草の刈り取り。10時に終了し、それぞれ次の現場に向かう。社長は昨日には終わるつもりだったらしく、多少でも残したことに苛立っているいる様子でもある。やたらと他人に悪態をついている。そして次の現場に、尻をたたいて送り出す。休憩時間もとらず、人使いが荒い。

僕と社長の兄さんとで入江川の巡回清掃を行なう。始めてみると思いの外チャドクガの幼虫が多く、摘み取りに時間がかかる。梅雨明けの第2弾、てところだろうか。まだ5mm位の黄色い小さな毛虫が、頭を揃えて葉っぱを食べている。兄さんはチャドクガの検査紙みたいで、直ぐに赤くかぶれが出てくる。僕はあまり反応が無い。

昼ころ台風の前兆になるすごい雨が一時降ったが、それきりで後は晴れたり曇ったりの状態が続いた。明日は樹医1級のセミナで大阪に行く。台風は明日の朝、近畿に最接近するようなので心配である。

今日は、僕の誕生日で52歳になった。

 

2003年8月9日(土)曇りときどき雨

大阪私市(キサイチ)で樹医セミナの初日である。朝は始発の「のぞみ」に乗ってきた、米原あたりで台風とすれ違ったのだろう。大阪は風はほとんどおさまっていたが、雨が午後まで残った。

午前中は、病害の天野先生、午後は虫害担当の田中先生と大阪市立大学付属植物園の中を歩いた。植物園は、一定の面積の中に、多くの樹木が植えられているために、木の多くが下枝が少なく背丈が伸びた樹形となっているのが奇異だった。雨で暗い樹木園の中なので、余計におかしな印象だったのかもしれない。両先生の話は、それぞれ面白かった。目で見る観察のためか、病気より虫の話題が盛んになった。葉の裏にある白い粒々、白い綿状のもの、みどりいろの粒、葉に緑の面にうねうねとつながる薄黄色い帯、などなど、生徒が見つけた「これは何」物件を、ルーペを使って丹念に調べる。昆虫だけでも何万種類という可能性の中から、卵だとか死骸だとか胞子だとか見分けるのだからさすがである。正直に、「これはよく分からない」も多かった。要するに一摑みの自然の中は、植物、動物、菌類が渾然一体となって循環していると言うことを強く感じた。

夜は、ビールとつまみと松屋の弁当を持ってホテルに入った。植物園内の観察だけでも足は疲れていた。

 

2003年8月10日(日)晴れ

台風一過で晴れ、暑くなった。今日は樹医セミナー2日目、交野市内の樹木を観察して診断書を作成する実習である。

担当となった木は、住吉神社のクロガネモチで目通り経は50cm以上あるが、6mくらいのところで上が無くなっている。上部2mは腐朽しており、4m当たりにある太い枝にすべての葉がついている傷だらけの木である。さあ、これをどう診断するか。即製の4人のグループ仲間で観察した。

 

皆で観察・写真を取る                           目通りを計る

我々の診断は以下の通り。

・木の上半分が無くなった理由は不明。その後の処置がなされていないため腐朽が進んでいる。

・だんじり祭りが幹や枝をかすめるため樹皮が傷だらけ。根元のほこらはそれが理由。根元からも腐朽が進んでいる。

・アブラムシやカイガラムシが慢性的に発生しており、多くの葉はススビョウがひどく、また固まって多く茂り枝垂れている。

・傾斜地の途中に植えられ、高いところから表層土壌が周囲にたまって来て深植状態となっている。

全体としては、樹勢もまだあり、適切な処置をすることで充分に元気になると診断した。ススビョウへの対処では枝抜きをした方がいいのか、葉の枚数確保(光合成)重視か検討が必要との指摘が先生よりあった。その過程での他グループとの議論など楽しい実習であった。

京阪で京都まで出て、新幹線に乗った。お盆の帰省の直前なのか、比較的空いていた。

 

2003年8月13日(水)曇りときどき晴れ

昨日から、神奈川区の栗田谷中学の草刈りになった。ここは最大傾斜が60度はありそうな絶壁のような斜面や、オオムラサキや紫陽花が全面に植えられていて、機械では刈れない(つまり全部手刈り)斜面など、手間隙がやたらかかりそうな学校である。

さらに今日は、先輩2名が休みで、社長と兄さんはお通夜で3時からいなくなるという手薄の体制だ。そこでチップソーでの刈り払いを朝からやらされることになる。30度くらいの傾斜で土が濡れているため、ぬるぬると滑るので難儀した。午前中は比較的涼しかったが、午後は日も差すようになり暑さが効いてくる。下着と上の長袖が汗でグッショリとなる。それでも昨日の暑さよりはまだましだった。

草を刈っている下の家のおばあちゃんが、3時に冷たいコーヒーを差し入れてくれた。一緒にノシイカと味付き海苔が出てくるところがおばあちゃんの差し入れだ。78歳だと言う元気なおばあちゃんだった。

気がつくと、草を刈った斜面の上をたくさんのトンボが飛んでいた。赤とんぼに塩辛トンボ?が混ざっていた。

 

2003年8月14日(木)雨

昨日トンボが飛んでいたせいなのか、今日は朝から雨で秋の涼しさになった。

草刈りはできず、事務所で写真の整理と書類の整理をした。体の休息にはちょうどよかった。一緒に作業していたO君と交代であくびをした。

9月末で作業期間が終わる入江川の管理委託について報告書類を作成、整理する。発注時に仕様書に書かれた数量(樹木の本数や草刈りの面積)に対し、受注者側で数え、測定した値を実績として報告する。当然、仕様書の数値とは異なってきて、数量が増えれば金額も増える。ところがこの件の担当者は、金額が増えるのは駄目と言い、実績の数量の調整を指示してきたそうだ。

どのように調整するか相談するために電話をすると、今日はお休みですとのこと。チャドクガやネズミの件を併せて、典型的なお役人である。

 

2003年8月17日(日)曇りときどき雨

昨日まで3日連続雨が降り続いた。今日もすっきりしない天気だ。この雨のおかげで仕事は3連休となり、思わぬ夏休み(お盆休み)になった。

今日は、お袋を車に乗せて近所のお寺に墓参りをした。お盆を過ぎたが、お墓はまだ花が多く活けてあった。墓参りは1時間もかからず、帰ってくると実家で親父と昼から酒盛りをした。

 

2003年8月19日(火)晴れ

今日は造園技能検定の学科講習が、横浜中区のかながわ労働プラザで開催された。ここは中区の街路樹の仕事で刈込みをした通りだ。それも初日に、やくざの事務所があると言ってビビッていた所である。そのやくざの事務所は労働プラザの斜向かいにある。今日は人の出入りが無く静かだった。

学科講習は、過去問題をカテゴリ別に整理して、解答と解説を1日行なった。今まで答の分からなかった問題のいくつかが解決した。合格ラインが何割なのかはっきりしなかったが、よほど失敗しても7割は確保できそうな感じになった。あと5日で学科試験、と言うことで各講師はガンバレとハッパをかけていく。しかし僕は、学科試験日の翌日から始まるグリーンアドバイザの試験の準備もしなければならないため、こちらの受験勉強はとりあえず、今日までにせざるを得ない。何やら苦しくなってきてしまった。

 

2003年8月21日(木)晴れ

また暑い日になった。ついに、栗田谷中のもっとも急な斜面を刈ることになった。それも僕がロープの先にぶら下がって、鎌で手刈りをすることになった。斜面はコンクリート枠の土留めがしてあり、1つの枠の中に入ってしまえば鎌を使うことは大変ではないだろう。枠から別の枠への移動が危険だ、と言うことで、移動時の安全確保にロープを使った。

登山用のハーネスを腰に付け、ザイルを結ぶと沢登りをしている雰囲気になる。ただ手に持っているのは鎌である。右端の上部から刈り始めた。ザイルの端は社長が確保している。確保と言っても、安全な形の確保ではないので少し気になったが、まあ落ちることは無さそうだと見切りを付けて作業を始めた。

昨日までと違って、今日は朝から夏の日差しが照り、作業中の斜面は南向きときている。1時間も草を刈っていると暑さに茹ってきた。途中でギブアップして水を飲みに上に上がる。水を飲んで一息つくと再びフライパンの斜面にぶら下がり草を刈る。上では社長がザイルを握る。YSさんがやって来て、「猿回しの猿みたいだね」と言って行く。こちらは鰺の干物になりつつある気分だよ。

社長から、脅され励まされながら4時過ぎに斜面全部が終わる。ぶら下がっている時には気がつかなかったが、平らな地面を歩くと足がふらついた。コンクリート枠のため無理な姿勢でいたたせいか腰が痛い。多分、日差しが無ければ楽な作業だったのだろうと思う。

家に帰って体重を計ると68Kgと、2〜3日前より2Kgも減っていた。

 

2003年8月24日(日)晴れ

鶴見の商科大学で造園技能検定試験が行なわれた。午前中が実技の要素試験と、午後が学科試験である。このところ、安定した夏の日が続いていて、今日も朝から暑いと。菊名から市営バスで寺尾まで行く。菊名駅から41系統のバス、と言う案内だったので、駅前でいくら待っても市営バスが来ない。聞くと市営バスの停留所はここには無い言う。駅からずっと離れた所にあった。何人もの人が駅前から移動してくる。とても分かりにくく、かつ不親切な案内だ。朝からいらついた。

午前中の要素試験は、30cm位の樹木の枝が20種類机の上に置いてあり、その名前を当てると言う試験である。枝を手に取ってはいけない。各枝の机の前に立ち30秒間で判別しなければならない。30秒すると笛の音がして次の枝にと移動する。花や実は枝から取ってしまっているため、意外と難しい。

しかし実は、実技の事前講習会で出題予想がされているため、僕らは山を絞り込んできており、ほぼ全部の枝が判別できた。皆できた、と言っている。

午後の学科試験は、25問の正誤問題と25問の4択問題を1時間40分で回答する。始めてみると、分かる問題は5秒もかからないし、分からない問題は考えても分からないからエイヤと答えるため、30分で終わってしまった。皆も30分たつと教室からぞろぞろ出て行った。僕も、一応全問見直しをしてから教室を出る。

やっと技能検定が終わった。暑い午後の中を家に向かう。家の近くの八幡様では夏祭のお囃子が鳴っていた。

 

2003年8月26日(火)晴れのち曇り

昨日と今日の2日間、神谷町の虎ノ門パストラルでグリーンアドバイザーの認定講習を受けた。そして今日の最後に、1時間の認定試験が実施された。使ったテキストは見て良いのだが、1時間に正誤問題と選択問題を合わせて80問答えなければいけないため、ゆっくり探している余裕は無い。問題の9割はテキストを確認するにしても直ぐに答が分かった。最後に2問がテキストの説明を確認できず、答が分からないで時間切れになった。

試験自体は何だか安易(問題は難しいが)な気がした。受験者それぞれの経験を前提にしての資格なのだろう。今まで勉強してきた樹木の世界の延長上ではあるけれど、園芸用草花は種類が多く、変遷が大きいのでどうも苦手ではある。

 

2003年9月の徒然に続く