2004年4月の徒然

 

2004年4月2日(金)雨のち晴れ

今週は、川崎大師の近く、産業道路沿いにある街路の植栽の移植をやっている。OK園のTGさんは、個人邸の仕事を中心にやっており、役所のからむ仕事には不慣れのようで、施工前や施工中の写真として何をどのように撮るか、いろいろ悩みながらの仕事になった。面倒くさい、段取りをしにくいとぼやきながら、それでもあまり焦ることなくやっている。昨日から、公共工事に慣れているOさんが手伝いで来てくれ、急にはかどり始めた。ともかく高木4本、低木6本、ツツジ約100本の堀り取り、植えつけで、4日間穴を堀り続け、今日は腰が痛く、腕が張ってきた。明日、最後の高木2本を移動、植えつけをして完了である。僕は、都合でお休みをお願いしている。家に帰っても、思ったより腰の神経が悲鳴をあげていた。

 

2004年4月7日(水)晴れ

川崎生田の個人邸に来ている。家の周囲を生け垣にしているため刈込みが大変である。シラカシ、レッドロビン、ヒバがある。2人でやっているとそれでも1日半くらいかかってしまう。依頼主は60くらいのおばさんだった。時間があるのでTGさんは、車庫のゲートの修理、屋根の補修、雨樋の清掃、水道栓のパッキン取り替え、大型テレビの移動、などなど頼まれるままに何でもやっている。植木屋は便利屋だ。平日の昼間、暇なじいさん、ばあさんの茶飲み話の相手も仕事の内なのだろう。

天気は晴れて暑いくらいになってきた。18、9の女の子が二人、家の前をしゃべりながら歩いていく。「春だねぇ」「春っていいねぇ」「春って大好き」。

 

2004年4月10日(土)晴れ

二宮の竹の里の活動に参加した。今回も初参加のメンバーが2人。50代の樹木医を目指しています、という人と20代のスパイク地下足袋をはいた若者の2人だ。年配の方は、優しそうな表情のサラリーマン風、地下足袋のお兄ちゃんは、人工林の間伐を体験してからボランティア活動に入れ込んでいる様子。毎回、新メンバーが参加する。これから継続して活動してくれることを皆で期待する。

竹の整理は、やっと敷地の最上段まで到達した。これから若い人の参加が多くなると、力仕事は若者の領域で、僕ら年寄りは竹の里の活動の舵取りをうまくやることが命題になってくるのだろう。今年度は植生調査を記録として残すことと、散策道作り、竹炭作りなどをやっていこうと思っている。

 

2004年4月15日(木)晴れ

昨日と今日の2日間、先週、仕事をした生田の個人邸の、お隣のお宅にあるサルスベリの治療をした。樹齢は100年を超えていると言われた。さすがにサルスベリとしてはかなり大きく、目通り1m近くある。大きな3つの枝のそれぞれに、枯れ縞が上から下までつながっていた。TGさんの目論見としては、原因は日焼けで、枯れはそんなに深くないので、枯れ縞の部分の表面をきれいにし、保護剤をコーティングしておけば、元気な部分からカルスが盛り上がるだろう、とのこと。しかし、主幹となる枝以外の2本については、枯損部をかきとっていくと、芯まで腐朽菌に侵されてグズグズになっており、かなり重症であることが分かった。さらに、生きている幹にも、穿孔虫(テッポウムシ)が入り込んでいて、何となくやばそうな感じがした。この木の治療は、本当は難しそうだ。腐朽菌に侵された心材部分は、結局はかき出さなかったが本当はどうするべきか、よくわからない。結果が分かるのには数年かかるだろう。

 

2004年4月17日(土)晴れ

目黒の白金台にある自然教育園の野外生態実習を受講している。テーマは「森林の遷移の調べ方」で、森林の遷移を植生調査で実際に確認する講座である。植生遷移の理解は、生態学や植物生理に関する知見をフル動員しないと分からない、と言う話になるほどと思う。初日の昨日は、遷移の一般論の説明と、教育園内での遷移にする自然観察だった。今日は、教育園の周りに首都高速ができたときに飛び地となった、1500u位の小さな空き地の植生調査を行った。調査地へは道具を積んだリヤカーを引いて、都心の道路端を歩いていく。行く道すがら、講師は道端の植生の説明を始める。雑草をつまんでは、これはスズメノカタビラと言い、この辺のいたるところに生えているイネ科の雑草です、と言った具合に話す。雑草はいくらでもあり、先へ進めず、調査地に着いたのはちょうど12時になってしまった。リヤカーを置きUターンして昼飯を食いに戻ることになった。植生調査は大変である。

 

2004年4月18日(日)晴れ

今日は、県の自然公園指導員の委嘱式があるため、目黒での野外生態実習を受けたかったが、最終日は失礼してしまった。委嘱式は厚木市七沢の、自然環境保全センターで行われた。小田急で愛甲石田まで行き、そこからバスに乗った。保全センターの所長さんから一人一人が委嘱状を受け取り、式は終わるが、その後指導員の役割や報告のしかたなどの説明を受けた。180名の募集に対し、360名以上の応募があったらしい。最後は抽選で選びましたとのこと。90名が経験者の継続、90名が僕を含めた新規委嘱者で、これから2年間の任期である。森林インストラクターなどで勉強したことを、何らかの場で役立てたいと思って応募した。これから1回/月のペースで腕章を付けて丹沢に入り、自然環境の保全や登山者の安全などの活動をしていくことになった。腕章はきまり悪いが、あまり構えずマイペースでやっていこうと思っている。

 

2004年4月20日(火)晴れ

午前中は、頼まれ仕事で伐採、抜根を手伝った。木陰を作っていた樹を全部切り倒して、駐車場を広げようとしていた。サクラやカキノキ、ネズミモチ、イチョウなど皆大きな樹ばかりだった。仕事をしながら、税金が高いからどうせ駐車場にするなら台数を増やすのだろう、などと話をしていた。こうして、街中の緑が減っていく。最高気温が30度近くになり、初夏を越えて夏になってしまった。汗だくになりながら、木陰を減らしていくのだから余計に暑くなった。

午後はTGさんと亀戸での樹医の集まりに参加した。フジの花を堪能してから、和民に入ってご苦労さん会になった。1次会で帰ろうとしていたら、TGさんがこれからですよと言ってきた。結局2次会(これは短時間)、3次会まで付き合ってしまい、何年ぶりかの午前様となった。カラオケも久々だった。

 

2004年4月26日(月)晴れ

世田谷の住宅街にあるお客さんの庭を、訳があって下見した。ついでにツバキの葉を確認していると、驚くことに既にチャドクガが発生していた。綿毛のような卵の状態のものもあったが、孵化し、さかんに葉を食べている集団もいた。まだ、せいぜい1〜2mmの幼虫だが、ツバキの新葉の裏全面にはりつき葉食していた。今年は、暖かいため発生も早まっているのだろうか。これで雨が多いと、また昨年のような異常発生になるのだろう。

 

 

2004年4月30日(金)晴れ

昨日と今日は、丹沢水の木の活動に参加した。水の木の分収林では、杉林の間伐、枝打ちをほぼ完了し、林道より上部になる檜林の枝打ちを始めたところだ。僕は檜林の作業をさぼって、自分自身で懸案としている杉林での枝打ち調査の仕込みをした。いろいろ準備をした小道具を腰にぶら下げて、ムカデ梯子を上り枝打ち、ラベル付けをする。切り方を変えて枝を落とし、それぞれに番号を付けたラベルを貼り、最後に写真を撮ってムカデ梯子を下りる。それだけで結構時間がかかった。2本の樹に仕込みをするだけで昨日は終わってしまった。今日は、落とした枝が林床にどのような影響を与えるのか調べるために、比較するための調査区を設定した。2m四方のコドラートを2つ設定し、一つは杉の枝葉を全て取り除き、一つは枝葉をそのままにしておく。こうして半年後、1年後の状態を観察しようと思っている。

 

2004年5月の徒然に続く